お金儲け優先主義に対する抵抗感の正体。
悪徳医療などに見られる患者を薬漬けにして医療費をむしり取るといった、顧客を貶めるような行為が横行するようになる点への懸念。
飽和社会の中で、不要なものを売りつけるような行為もそう。もっと良い商品があるにも関わらず在庫処分の為に顧客に古いものを勧めるような行為。
動画配信などで無駄に尺を伸ばして、視聴時間を稼ぐ行為。また、視聴率を稼ぐために誰かを傷つけるようなコンテンツ。プロレスの演出として攻撃相手の同意の元なら良いのだけど、週刊誌のゴシップに見られるような部数を伸ばす為に誰かを生贄にする行為はどうなのか。
保険会社の押し売り。最近ではかんぽ生命が問題になっている。
これらの問題は、 グレースケールのように悪質さに差があり、一様に商業主義とひとくくりにできない側面がある。
また、Amazon の倉庫で精神をすり減らす従業員がいるような経営体制は、客は喜ぶが中で働く人が悲鳴を上げる。お金儲け優先主義への批判は何も消費者からだけではなく、従業員がその組織やそのトップに対して向けることもある。
一方で、公務員や非営利団体の仕事は利益追求ではないため、業務に携わる人間の生活が保証される程度の対価を要求する。しかし、競争原理が働かないため、イノベーションはほぼ起こらない。怠惰な従業員にも一定の報酬が保証され、そのため、頑張って成果を出すインセンティブが働かない。
では、どちらが良いのだろうか。どこで線引をするべきなのか。
ここでネックになるのは、顧客、従業員、共に喜べるかどうか。顧客は不利益を被っていないかどうか。ノルマ達成で従業員の精神はすり減っていないか。粗悪品の押し売りで従業員の良心は傷んでいないか。
悪徳医療に関しては完全にアウトだろう。在庫処分の売りつけや動画の引き伸ばし手法に関しては、グレーかな。消費者がそれで喜んでいればまあ良いのではないか、とも思えるが、それだと、薬漬けの患者も騙されて医者に感謝していたらそれで良いでしょという考えになる。
じゃ、どこでラインを引くか。もちろん、生活のためにお金は稼がなくてはどうしようもないので、稼ぐ事自体は肯定されて然るべき。搾取マインドが問題だとして、
- 顧客と Win-win の関係を築けるかどうか
- 従業員と Win-win の関係を築けるかどうか
辺りだろう。しかし、全ての人が満足できるなどということはありえないという厳しい現実ににも留意しておきたい。